2017.07.28更新

我々獣医の間では、多飲多尿という症状は特定の疾患を示すものですが、一般の飼い主様にはなかなか認識しにくい症状かと思います。「うちの子よく水飲んで元気なの」という感覚で「うちの子よく水飲んで病気かしら?」とはなりにくいようです。

水を大量に飲んでしまう病気に、脳から出るホルモンが不足して起こる尿崩症という病気があります。腎臓から大量の薄い尿を排泄する病気で、そのため多くの水を飲んでしまいます。頭を打ったりすると脳の中の抗利尿ホルモンを分泌する部位に障害が発生し、ホルモン不足になり発症します。この病気だけなら、抗利尿ホルモンを投与すればよいのですが、非常に珍しい病態の猫ちゃんを拝見する機会がありました。その猫ちゃんは、喉の渇きを感じる飲水中枢も障害されてしまい、尿崩症なのに水を飲まない状態になってしまって非常に重篤な脱水状態で来院しました。喉の渇きを感じす水を飲まない疾患を寡飲症といいますので、尿崩症に寡飲症を合併した症例は非常に珍しく、過去に報告がありません。

非常に苦労しましたが、食事とともに飲水させる方法で脱水を改善し、抗利尿ホルモンを投与し水分の喪失量を調整して現在は元気にしてくれています。

平成28年度 獣医学術近畿地区学会 奨励賞を受賞しました。

 

 

投稿者: みや動物病院